腰痛における解剖学的Point&疼痛の原因

腰椎に対して
どのようなメカニカルストレスがかかっているか!


ここでは大きく分けて2パターンの解説

○屈曲時痛

○伸展時痛


➀屈曲時痛(伸張ストレス)

・立位や座位などの抗重力姿勢の場合、胸郭の重みが前方に倒れる力を発生させるため、腰背部の筋および共用筋膜にはつねに伸張ストレスが生じる


・ヘッドフォワードポスチャーや重量物を頻繁に持ち上げたりする作業などは伸長ストレスを強める原因となる


・伸張ストレスは腰背部の筋内圧を上昇させ、疼痛の原因となり、さらには筋の柔軟性を失い筋および筋膜間の滑走性を低下させる


・伸張ストレスにより固有背筋群、胸腰筋膜、坐骨神経、上殿神経に由来する疼痛が生じている可能性がある


 ○固有背筋群

  ・外側群と内側群に分けられる。


→外側群

椎体間を多分節にわたって走行し、脊柱の大きな運動に関与最長筋、腸肋筋が含まれる。伸展モーメントの約80%は外側群が担っている


→内側群

椎体の横突起と棘突起のスペースに存在する筋群。短回旋筋、長回旋筋、多裂筋が存在。腰部多裂筋は腰椎の生理的前弯位で活動性が高く、後弯位で最も低い。腰部多裂筋は胸腰筋膜の深葉に取り囲まれており、腰椎後弯位が継続すると筋内圧の上昇をきたしコンパートメント症候群を引き起こす

 

 ○胸腰筋膜

 ・深葉と浅葉に分けられる。固有背筋群を取り囲む。

 →深葉:多裂筋を完全に取り囲み腹横筋、内腹斜筋の起始部となり連結している

 →浅葉:広背筋や下後居筋が起始している。また大殿筋と連結している


※固有背筋群の筋膜は腹横筋、腹斜筋、大殿筋などの筋膜と連結しており、互いに影響を及ぼし合う


以上の解剖学的所見を踏まえた屈曲時痛の原因とは?


⑴固有背筋群の筋力低下

・胸郭を含む上半身の重量は胸腰筋膜と固有背筋群で支持するため、固有背筋群の筋力が低下すると、その重量を支えるため胸腰筋膜と固有背筋群は過緊張状態となり伸張性が低下し屈曲動作などで伸張ストレスが加わると疼痛が生じやすい


⑵体幹屈筋群の筋力低下

・体幹屈筋群と背筋群は連結し合い腰部の安定性を高めている。そのため、体幹屈筋群の筋力が低下すると、背筋群は腰部の安定性を保つために過度な活動が求められ過緊張となり伸張性が低下する。前屈動作などによって伸張ストレスが加わると疼痛が生じやすい


⑶腸腰筋の短縮

・腸腰筋の短縮により骨盤前傾、腰椎前弯が増強するため、胸腰筋膜や背筋群は短縮し伸張性が低下する


⑷股関節伸筋群の筋力低下

・大殿筋の筋力低下により胸腰筋膜を斜め下方に牽引する力が減少し、腰背部は不安定となる。(広背筋や下後居筋により斜め上方に牽引する筋とのバランスが崩れる)それを補おうと胸腰筋膜と背筋群が過緊張となり伸張性が低下し伸張ストレスで疼痛が生じる


➁伸展時痛(圧縮ストレス)

・立位時の圧縮負荷率は椎間関節で約20%、椎体、椎間板で約80%を担っている

・体幹屈曲に回旋が加わると片側の椎間関節面は圧縮負荷率が増加する。

・回旋動作が継続すると圧縮負荷率が高い椎間関節に運動時tくが移動し、椎間板に剪断力を生じさせ、線維輪を損傷する原因となる

・腰椎伸展時は椎間関節の圧縮負荷率が増加する

・座骨神経、上殿神経は梨状筋上孔部で圧縮ストレスにさらされる

・伸展時痛が生じる場合は椎間関節と椎間板の損傷、坐骨神経と上殿神経の機能障害を疑う


○腰部椎間関節

・腰椎の伸展は下関節突起が下位椎体に衝突することで制限され圧縮負荷率が増加する

・さらに伸展すると関節突起を中心に回旋作用が発生し椎間関節の関節をストレスがかかり腰部椎間関節症となる


○腰椎椎間板

・腰椎を屈曲させると椎間板の前部には圧縮ストレスにより変形が生じ、後部には前部で分散された圧が加わるため、伸張ストレスが増加する

・この椎間板後部への伸張ストレスが線維輪内の自由神経終末を刺激し疼痛が生じる

       

以上の解剖学的所見を踏まえた屈曲時痛の原因とは?


⑴腸腰筋の短縮、股関節伸展筋の筋力低下

・腰椎椎間関節症は腰椎伸展位で生じる圧縮ストレスの増強が原因で生じる

・腸腰筋の短縮や股関節伸展筋の筋力てかにより骨盤の傾斜が強まる。また体幹屈筋群の筋力低下による圧縮ストレスの増加も考えられる


⑵腰椎後弯位で生じる圧縮ストレスの増加

・固有背筋群の筋力低下により骨盤前傾が減少し、それに伴う腰椎後弯位が引き金になることが多い

・腰椎後弯位は体幹屈筋群の筋力低下、股関節伸展筋の筋力低下も引き起こす


○坐骨神経・上殿神経

⑴坐骨神経

・通常梨状筋下孔を通過し、大殿筋に覆われながら双子筋、内閉鎖筋、大腿方形筋を横切るように縦走し下降する

・梨状筋を通過した坐骨神経はその後、大腿方形筋や内閉鎖筋の表層を通過する。したがって、梨状筋に上から圧迫されたその後他の深層外旋六筋により突き上げられるストレスが加わる。


⑵上殿神経

・梨状筋上孔を走行し、骨盤腔をでて小殿筋、中殿筋の通り、大腿筋膜張筋に至る

・大座骨孔を梨状筋とともに通過するため、梨状筋の強い収縮やスパズムにより絞扼性傷害が生じる可能性がある

 

以上の解剖学的所見を踏まえた屈曲時痛の原因とは?


⑴股関節伸筋群筋力低下

・大殿筋やハムストリングスの筋力低下により、股関節の動的安定性に関与する深層外旋六筋の負荷が高まり筋硬度が亢進し坐骨神経や上殿神経へ圧縮ストレスが加わる


⑵仙腸関節の安定性低下

・梨状筋は仙腸関節の安定性にも関与しており仙腸関節の安定性が低下することにより梨状筋の過度な収縮が誘発され坐骨神経や上殿神経に圧縮ストレスが増加する

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